2012年4月28日土曜日

欧州車って低速トルク重視なんですか? 日本車でもそういうの味わえる安い車ありま...

欧州車って低速トルク重視なんですか?

日本車でもそういうの味わえる安い車ありますか?







その通りです。ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも非常にパワフルな低速トルクをしており,これが運転の楽しさ(加速など)や燃費改善(小アクセル開度)につながっています。



●日本車で低速トルクがあるのは?

ガソリン車では,残念ながらありません。日本のターボ車は古典的な出力向上型であり,燃費改善のための低速トルクはありません。



●もし買うなら?

マツダのCX-5のディーゼルが最高です。コストの高いNOx後処理装置がないのに,燃焼改善でNOxを低減した世界最高の技術です。NOx後処理がないので,プライスが安く,しかもトルクは同排気量のガソリン車の約2倍を2000rpmから発揮します。これがわずか258万円からなのですから,世界のクリーン・ディーゼル車と比べても驚くべきことです。



●欧州のガソリンエンジンは?

欧州では,大半のエンジンに過給機(ターボ・チャージャやスーパ・チャージャ)が装着され,これで排気量のダウンサイジングをおこなっています。単に過給機で出力アップするのではなく,低回転域が高いトルクを発揮させることで,運転性を改善しています。



例を示しましょう。



カローラ 1.5L

最高出力=110馬力

最大トルク=140Nm

1500rpmでのトルク=120Nm



ゴルフ 1.2L+ターボ・チャージャ

最高出力=105馬力

最大トルク=175Nm

1500rpmでのトルク=175Nm → カローラの45% up ~ 圧倒的に走りやすいということです



●なぜか?

過給機を使って最高出力を高めていたのは,過去の話です。現在の燃費改善のためのダウンサイジング・ターボでは,下記のような原理になっています。



・小さい過給機 … 低回転域から過給する ~ 昔のように3500~4000rpmにならないと十分な過給が得られないというドッカン・ターボではありません

・低負荷領域のポンピングロスの低減 … ガソリンエンジンはスロットルバルブで吸入空気量を調整し,出力を調節します。しかし低負荷領域では,スロットルバルブがほぼ閉じているため,大きなポンピングロスがあります。過給機をつかうと,このポンピングロスを軽減できます(吸入管内の負圧を正圧にできるため)



●ディーゼルエンジンは?

ディーゼルエンジンの最大の課題は出力や燃費ではなく,排ガス規制です。特にNOx(窒素酸化物)の低減が大きな課題になっています(コストアップ額が20~60万円)。これにくらべれば,出力アップや燃費改善はとても簡単です。



NOxを減らすには,燃焼温度を2000K(ケルビン)以下に下げる必要があります。このためEGR(排ガスを再度,燃焼室に戻すこと)を使います。排ガスには,比熱の高いCO2が含まれており,同じ熱量であれば,燃焼室内の温度を下げることができます。ところがCO2を多く入れると,局所的に自発火できず,PM(細かいスス:Particulate Matter)が増えてしまいます。このため過給機をつかって,たくさんの新気をいれて燃焼室内の酸素濃度を高めます。こうしてNOxを低減しながら,PMを低減するのです。



その結果,燃焼室内の酸素量が多いので,多くの燃料を噴くことが出来,結果的に出力アップになります。よく,ディーゼルエンジンと過給機は相性が良いといわれますが,それは間違いで,NOx低減のための方策として,出力アップやダウンサイジングになるのです。ここを誤解されている方が多くおられます。



いずれにせよ,ディーゼルエンジンにはほぼすべて過給機が搭載され,自然吸気のガソリンエンジンと比較して,同排気量であれば,トルクは約2倍になっています。



●欧州メーカのエンジン屋さんに尋ねると?

どうしてガソリンエンジンの過給ダウンサイジングをやるのかと尋ねたところ,第1目的は燃費改善ではないという意外な答えが返ってきました。第1目的は,ディーゼル車に慣れたユーザが強烈な低速トルクを欲しがるため,ガソリンエンジンも過給機が付くのだそうです。もちろん第2目的は燃費改善なのですが。



●日本は?

人間は,「燃費,燃費」といいつつも,やはり走りが良いクルマの方が好きなものです。その代表が欧州のダウンサイジング・ターボのガソリン車やクリーン・ディーゼル車ということです。この方式は走りも燃費も良く,しかもコストアップ額が小さいので,多くのクルマに採用しています。



一方,日本のエコカーはカタログ燃費は良いものの,実フィールドでの燃費との乖離が大きかったり,出力が小さすぎて,結局,アクセルを踏んでしまい,あまり燃費改善が良くありません。



簡単ですが,ご参考になれば幸いです。








モーターでアシストするハイブリッド車を除き、1500回転で最大トルクが出るような特性を持つ国産乗用車は、今のところありません。

しいて言えば、マツダCX-5(SKYACTIV-D)と日産エクストレイル(ディーゼルターボ)がそれに近いです。

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